今回は意外と一般の方に浸透していない
「設計事務所」の分類の話。
明確に分類分けをしている訳ではありませんが、設計事務所にも”種類”的なものがあります。
大きく分けると5種類に分かれます。
その1・・・組織系事務所
その2・・・アトリエ系事務所
その3・・・工務店とアトリエ系の中間的事務所
その4・・・代行業務事務所
その5・・・その他の事務所
その1、組織系事務所
この事務所は多人数で構成され、大きな規模の設計プロジェクトに取り組んでいます。
公共建築や中、大規模の建築を取り扱っている事が多いです。
(とはいえ住宅や個人経営の店舗なども請け負う事はあります)
その2・・・アトリエ系事務所
個人経営もしくは数人程度で構成される事が多い設計事務所です。
所長の考え方が設計に大きく反映され、作家性が強かったり、情緒的な設計をする設計事務所です。
設計規模の対象は大小様々ですが、個人もしくは数人程度で運営している事務所なので、比較的規模の小中規模の建築設計を取り扱う事が多いです。
(一般の方が考える”建築家”はここに分類される事がほとんどだと思います)
その3・・・工務店とアトリエ系の中間的事務所
この事務所は工務店的設計〜アトリエ的設計の中間ような設計を行なっています。
また、設計対象も大小様々で何とも明確に分類するのが難しいのですが
デザインと性能の両方に造詣が深い事務所が多いです。
すごく乱暴な表現ですがバランスを考えた結果「キャッチーなデザイン」をしている事務所が多い印象です。
(とはいえアトリエ系でも建築性能を重視している所も多々ありますが)
その4・・・代行業務事務所
ここは工務店などの確認申請業務や図面作成の代行常務を行なっている事務所です。
代行業務を主としているので、基本的に建築設計は行なっていません。
その5・・・その他の事務所
上記どこにも該当しないタイプの設計事務所です。
例として、構造設計だけを行なっている事務所などがあります。
また、最近は変わった設計システムを用いて変わった設計をしている事務所などもあります(笑)
実験的というか研究的な要素で設計を行なっている感じです。
ざっくりとした分類ですが、大まかに分けるとこんな感じでしょうか。
弊所の場合は上記分類だと”その2”に分類されます。
ただ、アトリエ的なデザインをする組織事務所もありますし、アトリエ事務所でも大規模公共建築を手がける事だってあります。
資格分けや明確に線引きがあるわけではないんです。
例えば国立競技場の設計者である隈研吾氏は組織系事務所を主催している建築家ですし
僕が以前所属していた設計事務所はアトリエ系事務所ですが市役所の設計を行なっていました。
分かりやすいような分かりにくいような話になってきましたが・・・(笑)
共通するのは(その4を除いて)施工は施工会社に依頼するという事でしょう。
施工は施工会社として行政からの許可を受けた施工会社(工務店)でなければ行えません。
ここで軽く触れますが、特に住宅設計の際にクライアントに質問される「そうなると設計事務所に設計料を払わなければなるから高くなるのでは?」と聞かれる事があるのですが、これは100%都市伝説です(笑)
例えば工務店に設計施工一貫で依頼したとしても、建築を建てる以上は必ず誰かが設計しているので、その分の人件費が発生しています。
見積書に設計料が書いてある明朗会計(?)な工務店は良いのですが
「うちは設計料はいただいていません」という工務店でも”諸経費”などの名目で設計にかかる人件費は必ず含まれています。
もし本当に設計料無料だとしたら会社として経営が成り立たってないし、誰かがタダ働きしているという事になってしまいます(笑)
話が拡大してしまいましたが、設計料や建築費用の話はまたどこかの機会にブログで書きたいなーと思っています。